レシピに薄力粉って書いてあるけど、使う理由がよく分からないままなんとなく使ってみたり、使わずに料理を作ったりと、薄力粉がどんな物か曖昧なまま料理を仕上げてませんか?
でも確かにケーキやお菓子は別ですけど、料理によってはレシピに薄力粉って書いてあっても使わずに作ってなんとなく出来ちゃう事もありますよね
そこでこんな風に思ってしまう事もあるはず

「じゃあやっぱり使わなくていいんじゃない?」
「薄力粉って使うとどうなるの?」
「どんな時に、どんな理由で使うの?」
ケーキや焼き菓子を作るときに必要なのはわかるけど、料理には必要ないと思われがちになってしまいます
でも実は薄力粉って料理にも重要な役割を果たす大切な食材なんです
そこでこの記事では薄力粉が必要とされる理由や役割を徹底解説していきます
・都内の有名フレンチレストランやミシュラン星付きフレンチレストランなどのキッチンスタッフとして勤務
・多くのフレンチレストランでの研修多数
・シェフとしてキッチンに立ち料理やデザートを考案、提供する
薄力粉は重要な役割を担ってくれる重要なポジションを任されているので、ぜひこの記事を参考に薄力粉を理解していただければと思います
それではよろしくお願いします
そもそも薄力粉とは

薄力粉とはご存知の方も多いと思われますが小麦が原料です
小麦畑をテレビやネットを通して見た事あると思いますが

このあたり一面に黄金色に輝く稲が小麦です
小麦を刈り取って、小麦の外皮を除いて胚乳という部分を粉砕して粉にすることで小麦粉になります



ちなみに胚乳以外の表皮や胚芽と言われる部分も粉にして小麦ふすまと言われる栄養満点のものに加工されるんだよ!
小麦粉は強力粉とか中力粉もありそれぞれ小麦の種類によって、薄力粉になったり中力粉になったり強力粉になったりします
小麦はデンプンの粒やタンパク質から出来ていて、粒の大きさやタンパク質の量などで薄力粉になったり強力粉になったりします
その中でも粒が柔らかくタンパク質が少ない軟質小麦を使って作った小麦粉が薄力粉になり、逆に粒が硬くタンパク質が多い硬質小麦を使って作った小麦粉は強力粉になります
小麦粉から作られる成分グルテン

ここで小麦粉から作られる超重要な成分グルテンについて説明します
このグルテンが小麦粉の最大の特徴と言っても過言ではありません
グルテンというのはタンパク質の一種で小麦の胚乳の部分、つまり小麦粉になるところから作られる成分です
小麦粉に水を加えてこねてみてください
するとだんだん粘り気が出てきますがこれがグルテンです
2種類のタンパク質(グリアジンとグルテニン)に水が加わることで絡み合い、グルテンになる
水を加えてこねればこねるほどグルテンが作られていき、粘り気やもちもちした食感が出てきます

小麦粉を使った生地のレシピを見ると「こねないようにさっくり混ぜる」と書かれてるのはグルテンが出てきて生地が硬くなるのを防ぐためだよ!
先ほど書いた通り、強力粉よりも薄力粉の方がタンパク質が少ないため、グルテンが作られる量も少なくなり、ふわっと仕上げたいケーキ屋や天ぷらの衣に向いています
薄力粉がお菓子に与える影響

薄力粉から作られるグルテンは生地の中で網目状に広がり骨組みを形成し、それを焼き上げることにより固まって、ふわっとした押し戻すような弾力が生まれます
そして小麦に含まれるデンプンは水分が含まれて加熱されることでだんだんと膨らんで行き、さらに粘りのある糊のような物質に変化していきます
この粘りが出る現象を糊化と言います
骨格の役割を果たしているグルテンに、糊化したデンプンが繋がる事で膨らみを支え、食べた時のふわっとした柔らかな弾力を与えます

これが強力粉だとグルテンが多すぎてふわふわというよりもちもちとかパリパリっていう食感になっちゃうんだよ!
薄力粉が料理に与える影響

薄力粉を料理に使う時って食材にまぶして使うことが多いと思いますがその理由はこちら
・食材の水分が外に流れ出るのを防ぐ ・食材についた粉が調味料を吸うので、食材によく絡む ・煮込みの汁やスープにとろみをつけることができる ・揚げ物の衣をつけるときにまぶすと、衣がよくくっつく
水分が外に出るのを防ぐ
食材は加熱することで水分が外に出て行こうとします
その水分を表面にまぶした薄力粉が吸い込むことで食材の中に水分が残りやすくなりパサつかずにしっとり仕上げることができます

食材に水分を残したまま火が入ることで、食材をさらに美味しく楽しむことができるんだよ!
調味料が食材によく絡む
食材に薄力粉をまぶして焼いてから、調味料を入れる工程はよくありますがこれは食材を加熱しながら粉に調味料を吸わせてよく絡ませるためです
こうすることで食材一つひとつに味がしっかりつけられます
煮込みスープにとろみをつける
煮込みを作る時にお肉に粉をまぶしてから焼いてスープを入れて煮込みますが、これは薄力粉のデンプンを利用してスープにとろみをつけるためです

とろみをつけたい煮込み、例えばカレーやシチューを作るときはお肉に薄力粉をまぶして焼くことが多いよ!
揚げ物の衣のつきが良くなる
天ぷらを作るときは、薄力粉をまぶして天ぷら衣
フライを作るときは、薄力粉をまぶして卵をつけてパン粉
この両方に共通していることは薄力粉の後に水分をまとわせていること
この水分が食材によく絡むように薄力粉をまぶしています
食材に天ぷらの衣がしっかりくっつくように、卵が全体にしっかりまとってパン粉がくっつくように、キレイな揚げ物を作るために薄力粉をまぶしているんです
薄力粉を使う前に

薄力粉は柔らかい小麦から作られていて、粉が細かくダマになりやすいです
スポンジを焼くときにダマになっていてキレイに混ざらずに、焼き上がって中からダマになった薄力粉が出てきたり、煮込みを作っていても部分的に大きな粘りができてしまうことがあります
なので薄力粉はなるべくふるいにかけて濾してから使うようにしましょう


ふりながら食材にかけたり、使う前にあらかじめふっておいてもいいね!

ダマになったまま使うと粉同士が粘りによってくっついて、うまく混ざらなくなるから気をつけようね!
まとめ
薄力粉の役割を理解していただけたでしょうか
薄力粉に含まれるデンプンとタンパク質から作られるグルテンが料理やお菓子に大きな影響を与えています
・骨格の役割を果たしているグルテンに糊化したデンプンが繋がり、ふわっとした弾力を生む
・食材の水分の流出を防ぐ
・食材に調味料を絡ませる
・煮込みにとろみをつける
・衣の付きをよくする
料理を美味しく仕上げるために、お菓子に至っては薄力粉を入れないと作れなくなってしまいます
薄力粉の役割を理解して、料理やお菓子作りに取り組んでみるとさらに美味しく仕上げられるようになるので、ぜひ次の調理の時は意識して使ってみてください
ありがとうございました
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